慧喜~Trip of the art

山内 康嗣展~見える日常/見えない日常

西荻窪にあるガレリア青猫さんにお邪魔しました。開催中の個展は「山内 康嗣展~見える日常/見えない日常」
ちょうど、最終日で、山内さんご本人が在廊されていたので、色々なお話を聞かせて頂きました

プラスとマイナス、穏やかさと毒など、
相反する要素が混在する日常の中で、
我々の脳は常に混乱し模索しながら生きている。
その対比があらわになった時に
ふっと沸く気持ちが私は好きである。
その時の予想外の感覚にニヤリとするのである。
見方を変えれば「日常の中の見えなかったもの」は
違った角度から見えてくる。
今回の展示で、あなただけの視覚体験をして頂ければ幸いである。
山内 康嗣(やまうち やすし)

(案内ハガキから抜粋)


ガレリア青猫20160328
山内康嗣展 見える日常見えない日常 案内ポストカード

↓↓↓展示されていたのは、何やら不思議な絵・・・
虫が飛んでるの?ポップアート?みたいな感じかと思いきや、タイトルを見てちょっと意表をつかれてしまいました
手前に浮かんでいるような物体は、空気の中をとんでいる大気汚染物質の分子構造の模式図なのだとか。

春の散歩道#12 水分子
≪春の散歩道#12 水分子≫2016年
春の散歩道#11 三酸化硫黄分子
≪春の散歩道#11  三酸化硫黄分子≫2015年

山内さんは、四季折々の美しい風景を描きながら、その中に存在する見えない現実を描かれているのです。
色のついた分子マークは、赤は酸素、黒は炭素、白は水素、青は窒素、緑はフッ素、黄色は硫黄ということなのだそう。

夏の散歩道#10 アルカン分子
≪夏の散歩道#10 アルカン分子≫2016年
夏の散歩道#8 ホルムアルデヒド分子
≪夏の散歩道#8 ホルムアルデヒド分子≫2016年

更に、背景の景色は遠近法で描かれ、フィルタをかけたようにぼかされています。
それはあたかも、汚染されてよどんだ空気越しに美しい風景を見ているような視覚効果を生み出しています・・・
背景の景色は、山内さんのご自宅周辺の日常的な町並みや季節の移り変わりなどが描かれています。
そんな穏やかな世界の中に、不気味に浮かびあがる汚染分子たち・・・視覚的には意表をつかれます
ですが、私達の周りに空気が満ちあふれているように、当たり前のように混在している汚染分子・・・。
そのような中に生きている自分だということを考えさせられます。

秋の散歩道#6 ホルムアルデヒド分子
≪秋の散歩道#6 ホルムアルデヒド分子≫2015年
秋の散歩道#9 アルカン分子
≪秋の散歩道#9 アルカン分子≫2016年

そして、作品は全てアクリルガッシュで着色されています。鮮やかで強い色味ですが、
背景には柔らかくて穏やかな四季を感じ、大気汚染物質の方には毒々しさを感じてしまうのが不思議です

冬の散歩道#5 フッ化水素分子
≪冬の散歩道#5 フッ化水素分子≫2015年
冬の散歩道#3ホルムアルデヒド分子
≪冬の散歩道#3ホルムアルデヒド分子≫2014年

↓↓↓そして、展示作品を鑑賞した後、過去の作品をまとめたファイルも見せて頂いたところ・・・凄すぎてビックリ
まず、デッサンの凄さに目を奪われて、徐々に画面から発散する不思議な迫力に飲み込まれてしまいそうに
実際は、かなり大きなキャンバスに描かれてるとのこと、
ファイルのビニールごしに撮った画像なんですけど、この超緻密な描写と濃厚なボリューム感伝わりますでしょうか・・・

一億総ロケット出勤図
≪一億総ロケット出勤図≫
大東京漂流伝
≪大東京漂流伝≫

企業戦士尽死散 其之弐
≪企業戦士尽死散 其之弐≫
企業戦士尽死散 其之参
≪企業戦士尽死散 其之参≫

武斬魔スモッグビジョン1
≪武斬魔スモッグビジョン≫
武斬魔スモッグビジョン2

展示作品とはまた違った意味で、過去に制作された作品はかなりストレートに社会派です

右の「大溶解日本列島史」という作品は、
自給力の低い日本が経済大国として発展してこれたのは、
「工業力」という国力があったからこそで、
その工業力が、今後は中国やインドに移ろうとしている・・・
その危機的状況を表現されたのだとか。→ → →
江戸時代後期の絵師、鈴木其一(すずき きいつ)の
群鶴図屏風」をベースにされた作品なのだそう。

↓↓↓下の「企業戦士尽死散」という作品。
資本主義のわが国では、利潤の追求に邁進することにより、
日本経済を大きく発展させた。その発展の裏側には、
生きる労働力一人一人の壮絶な闘いがあり、
また社会の大きな波に押し潰され、力尽きる者も数多くいる。
この作品は、過労死をストレートに表現している。
この絵をじっと凝視し、
男の背負い込んだ人生の背景が見えてくる事で
この作品は初めて完結する。
」(キャプションより抜粋)

企業戦士尽死散
≪企業戦士尽死散≫
大溶解日本列島史
≪大溶解日本列島史≫

「核愛守護龍神団」という作品からは、作品に真摯に打ち込む山内さんの姿勢が感じられます。(大きさがF100号二枚分!)

この作品は、2011年3月11日に発生した東日本大震災をテーマにしたものである。多数の作家が取り組んだテーマであり、
私もその1人であるのだが、独りで静かに生きていく覚悟を決めつつある人間の視点は、作品もまたエゴイスティックなのである。
しかし、過去に2度命を落としかけた私は生死の分岐点にあるブランコに乗り、死への恐怖心を失うと同時に、
生への意味を常に追い求めている人間だ。
だから、外界の一般意識を突き破ってしまった今、自身の人生の全責任を負って掛けようとするこの覚悟には、
一切の保身がないのだ・・・それだから、野垂れ死にも厭わない。
そういう覚悟だから、今回震災をテーマにすることを死者たちに許して欲しいのだ。
震災時、生死の暖簾(のれん)に「こんにちは」を繰り返す人々を見た時、
決して他人事ではないあの日の私の映像が鮮明によぎり、そしてうな垂れた。
死者たちよ、私が今こうして生きている証を、描かせて下さい!
」 (キャプションより抜粋)

核愛守護龍神団
≪核愛守護龍神団≫

最後に・・・山内康嗣(やまうち やすし)さんご本人です。
ご出身は、福岡県ということです+.(*'v`*)+
社会派アーティストというと堅苦しく思う人もいるかもですが、
人当たりがソフトで、とても親しみやすくお優しい方でした
知性的で、精神の柔軟な作家さんという印象です。
硬質な作品の中に見え隠れする柔らかな矜持・・・
そんな作品とお人柄で、
これからもファンが増えていかれることと思います
そんな山内康嗣さんのHPはコチラ↓↓↓
山内康嗣さんオフィシャルサイト
山内康嗣さん
もうすでに、各方面で活躍されている作家さんなので、サイトも見応えありますょ
GALLERY TAGBOAT(タグボート)というアート販売サイトでも、作品を販売されています。ご興味のある方はコチラ

色々とお話をさせて頂いて本当に有難うございました  ガレリア青猫さんのオーナー山本氏にも感謝です・・・

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英国の夢 ラファエル前派展

すでに終わってしまった展覧会なのですが、
渋谷にあるBunkamura ザ・ミュージアムで、
「リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展」を
観てきました  ラファエル前派とは・・・??
私自身、あまりよく分かってなかったので色々と調べて、
かなりざっくりとまとめてみました

レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと共に
盛期ルネサンスの三大巨匠と呼ばれるラファエロ・サンティ。
ラファエロの描く優雅な古典様式や、
対象をより美化して描く様式美などが、
長くヨーロッパ美術の基本とされており、
英国ロイヤル・アカデミー美術学校の模範となっていました
そんな形式美を求めるアカデミズムに反発した7人の若者が、
ラファエロより前の時代の、「ありのままの自然を正確に写し出す」
という素朴な絵画に回帰しようと、
19世紀半ばに結成したのが「ラファエル前派兄弟団」です

その活動期間は短いものでしたが、当時、造船業や工業が繁栄し、
英国随一の港町となっていたリバプールで生まれた中産階級の市民
(お金持ち)が、同時代に生きる彼らの作品を収集しました。
それらは、現代では貴重なコレクションとして、
リバプール国立美術館に収蔵されています
今回の展覧会は、その所蔵品のみからの展示で、
新しい絵画の時代を作ろうとした当時の若い画家たちの足跡を
たどっていくことができる、というものでした
ラファエル前派展パンフ2

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たくさん作品が展示されてたのですが、とりあえずポストカードで売ってた絵をアップさせて頂きます
まず、ラファエル前派の主要メンバーだったダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの絵です。
左が「シビラ・バルミフェラ」で、右が「パンドラ」
↓↓↓「シビラ・バルミフェラ」とはヤシを持つ巫女のことで、ヤシは美の勝利を表しているのだとか
見えづらいかもですが、左側の薔薇と目隠しされたキューピッドは盲目の愛の象徴、右側のポピーと頭蓋骨は死の運命を暗示、
そして蝶は旅立っていく魂の象徴なのだとかで、「愛と死」をテーマにしている絵なのだそう・・・

シビラ・バルミフェラ
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
≪シビラ・バルミフェラ≫1865-70年     
パンドラ
≪パンドラ≫1878年

このロセッティさん、多くの女性と複雑な恋愛関係にあったようで、数々の作品にその女性たちの姿が美しく残されています。
右の「パンドラ」は、友人の画家の妻がモデルらしく、晩年、この人妻の女性と恋愛関係があったとかないとか・・・↑↑↑
描かれたパンドラの箱には「希望が最後に残った」という言葉が刻まれているのだそう・・・
真相は分からないけれど、晩年の彼にとってミューズのような女性だったのだろうか?
いずれにしても、ロセッティさんの描く女性は皆、彼にとって「宿命の女」だったのに違いない・・・

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↓↓↓次は、ラファエル前派の創立メンバーの一人、ジョン・エヴァレット・ミレイの「いにしえの夢-浅瀬を渡るイサンブラス卿」。
ミレイの画業の初期における最も野心的でロマンティックな一点・・・だということです
頼もしい老騎士がどのようにして2人の子供を馬に乗せたかという以上の解説はなく、見る者の自由な想像に任されたのだそう。
発表当時は、馬が不釣合いに大きいなどの理由で不評だったらしく、後年になっても何度も手直しをしていたのだとか・・・

いにしえの夢-浅瀬を渡るイサンブラス卿
ジョン・エヴァレット・ミレイ≪いにしえの夢-浅瀬を渡るイサンブラス卿≫1856-57年

次もミレイの作品「ブラック・ブランズウィッカーズの兵士」↓↓↓
ブラック・ブランズウィッカーズとは、イギリス・オランダの連合軍と組んでナポレオンと戦った部隊のことなのだそうで、
この絵は戦いの前の、兵士と恋人の別れの瞬間を描いた絵なのだとか。(何故か、背景に敵であるナポレオンの絵が・・・)
まさにこれから戦地へ赴こうとしている兵士を、女性がドアノブに手をかけて引き止めているのが切ない・・・
また、サテンのドレスの質感が凄いこと・・・ドレスには「おろしたて」を示す折り皺まで描かれ、女性の心まで伝わってきます。
ミレイにとって、「別れを強いられる恋人たち」というのは、主要テーマの一つだったのだそう
彼は、私生活でも道ならぬ恋に陥っていました。
当時の美術画壇への反発が主となって、
若者たちで形成された「ラファエル前派」。
当然風当たりが強く、何をやっても非難の的だったのだそう。
そんな時に強力に援護し、後押しをしてくれた美術評論家の
ジョン・ラスキン氏という人物がいるのですが、
このラスキン氏の妻エフィとミレイは恋に落ちてしまうのです
妻はラスキン氏との婚姻無効裁判を起こし、
それは当時、大スキャンダルとなりました。
それがきっかけで、ミレイの絵の評価は下がっていきました。
この時に、「いにしえの夢-浅瀬を渡るイサンブラス卿」を発表。
しかし、「馬が大きすぎる」などと不評を買ってしまったのも、
このことが少なからず背景にあったからなのかもしれません。
援護者だったラスキン氏も、この絵を厳しく非難したのだそう。
そして、ミレイはラファエル前派を離れていきました

その後、裁判でエフィは勝訴し、二人は正式に結婚。
しかし、ヴィクトリア時代の社会において、
「夫を捨てた」エフィへの非難はやむことはありませんでした
当時、ヴィクトリア女王から寵愛を受けていたミレイですが、
女王はエフィとの謁見を拒絶していたのだとか。
更に、結婚後は、8人の子宝に恵まれた二人でしたが、
ミレイは生活のために、大衆受けのする絵を描くようになり、
ミレイを、流行を追うだけの商業画家に貶めた妻として、
エフィの悪評は、確固たるものになっていったのです
ブラック・ブランズウィッカーズの兵士
ジョン・エヴァレット・ミレイ
≪ブラック・ブランズウィッカーズの兵士≫1860年

しかし、後半生、ミレイは肖像画家としての成功を収め、ロイヤル・アカデミーの総裁にも就任しています。
のちに病気になり死の床にあった時、ヴィクトリア女王から「何か出来ることはないか」と伝言が届けられたのですが、
ずっと拒絶されてきたエフィとの謁見を受けてほしいと願ったのだとか。それは認められ、数日後に彼は67歳で亡くなりました。

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↓↓↓次は、ローレンス・アルマ=タデマ(1836–1912年) の「お気に入りの詩人」
このアルマ=タデマ さんの絵が目に入った時、あまりの繊細な美しさにしばらく目を離すことができませんでした
古代ローマ・ギリシャなど歴史を題材にした絵画を描いた、ヴィクトリア朝時代を代表する画家の一人です。

ヴィクトリア朝時代の人々は、女王のもとで繁栄を誇る大英帝国こそが、古代ローマ帝国後継者であると思っていたようで、
古代ローマ・ギリシャの芸術や建築に対する人々の情熱が高まっていた時代だったのだとか
そのため、古代時代へのロマンや夢をかきたてられるアルマ=タデマの絵は、この時代の人々から絶大な人気を博していました。
特に、古代の建築の描写が素晴らしく、中でもアルマ=タデマの描く大理石の美しさは、他に類を見ないものでした。
古代の風景を再現しながらも、ヴィクトリア朝時代らしく官能的で気品に溢れた作風は人々を魅了しました

お気に入りの詩人
ローレンス・アルマ=タデマ≪お気に入りの詩人≫1888年

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次は、イギリス出身の女性画家
エレノア・フォーテスク=ブリックデール(1872-1945)の
「小さな召使い(乙女エレン)」→ → →
英国の伝統的な民謡「乙女エレン」の詩句を、絵画化しています。
冷酷な恋人に召使いのように仕えるエレンは、
その男の子供まで身ごもりながらも、蔑みを受けていました
その男が、結婚相手を探す旅に出るという・・・
それに同行するために、または男からの要求で、
ドレスを脱ぎ捨て、男装し、美しい髪まで切ろうとしている・・・
そのシーンの絵みたいです。
かがめた体からは、怯えともつかぬような、
エレンの不安な気持ちが伝わってくるようです
しかし、この物語、エレンの一途な思いによって、
冷酷な恋人の心が揺り動かされ、幸せな結末を迎えるそう。

そして、背景の草花や木々の描写が丁寧で細かいこと・・・!
ラファエル前派の絵は、神話や聖書、中世の文学が
主題となっている作品が多いのですが、
徹底的に自然を観察することで、
対象を精密に描写することも一つの特徴です
短命に終わったラファエル前派ですが、
その方向は、後の多くの画家たちに影響を与えました。
エレノア・フォーテスク=ブリックデールもその一人で、
のちに展覧会で彼女の作品が展示された時、
「ラファエル前派の復興者」と評されたのだとか

小さな召使い(乙女エレン)
エレノア・フォーテスク=ブリックデール
≪小さな召使い(乙女エレン)≫1905年

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次は、エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ(1833~1898) の
「フラジオレットを吹く天使」→ → →
日本でも人気の高い絵で、私もすごく好きです
雰囲気がまるでテンペラ画のようですが、
水彩とグワッシュ(不透明水彩)で描かれています。

バーン=ジョーンズは、元々は聖職者志望でしたが、
ロセッティやラファエル前派の作品に接し、
芸術家としていきていくことを決意
その活動は画家だけにとどまらず、
教会のステンドグラスのデザインも幾度も手掛けました。
芸術家でもあり、敬虔なクリスチャンでもあった彼にとって、
その制作は、情熱と深い信仰心に根ざしたものだったとか
他にもタペストリーのデザインや文学の挿画、
室内装飾など手掛けるなど多才な方だったようです。

バーン=ジョーンズの作品は、神話や中世文学を主題に
しているものが多いため、その画風は、美しく幻想的です
「絵画は美しくロマンティックな夢である」・・・
という彼の言葉も残されています。
ちなみに、バーン=ジョーンズの作品は、
彼の生誕地であるイギリスのバーミンガム美術館に
最も多く収蔵されています
フラジオレットを吹く天使
エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ
≪フラジオレットを吹く天使≫1878年

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次は、ジョン・メリッシュ・ストラドウィック ( 1849-1935 ) の
「聖セシリア」→ → →
青いドレスを着た音楽の守護聖人 聖セシリアが
オルガンで聖歌を奏でている場面なのだそうです
隣にいる天使は、ロザリオを手にしながら、
うっとりした表情で聖セシリアを見守っているかのよう

今回の「英国の夢 ラファエル前派展」の中で、
おそらく群を抜いて、ギュギュっと細密な絵だったと思います。
この絵を食い入るように見つめてる人がたくさんいました
キャプションにも、「細密すぎて息苦しいほど」とかって
書いてあったような・・・笑
柔らかで透明感のある肌の質感、繊細な指・・・
近くで見ても、全く筆跡なども見えませんでした

上に上げたエドワード・コーリー・バーン=ジョーンズは、
ラファエル前派の中心人物だったロセッティを崇拝しており、
彼の方向性を受け継いだ、いわば「ラファエル前派」第二世代。

そのバーン=ジョーンズに師事していた
このジョン・メリッシュ・ストラドウィックは、
ラファエル前派 の伝統を伝える最後の一人だと
云われています
聖セシリア
ジョン・メリッシュ・ストラドウィック≪聖セシリア≫1896年

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もっと載せたい絵はあるのだけど、長くなっちゃうので割愛させて頂きます笑 (すでに十分長いんですけどね~汗)
最後に、「ラファエル前派」について、もうちょっとひとまとめ

19世紀、産業革命を契機に、急激な近代化と経済の発展をとげた、ヴィクトリア女王治世下(1837–1901年)の英国。
その中で、ラファエロを模範とする美術画壇を支配していたアカデミズムに反発する形で、「ラファエル前派」は誕生しました。
ラファエル前派を結成した若者たちは、ラファエロや伝統そのものに反発していたわけではなく、
急速に近代化していく社会に対する、若者らしい憂慮や危惧が背景にあったのだと思われます
「理想や形式美ではなく、真実はそのままに反映されていなくてはならない・・・」といったような。
そして、英国の芸術家を後援したヴィクトリア女王の存在も大きく、この時代に多くの芸術家が生まれました
彼らは、貴族と同等の地位を与えられ、その結果、ヴィクトリア朝の英国は芸術時代の大開花を見ることになったのです

産業革命により、時代が大きく転換していこうとする時に、
「ラファエル前派」の画家たちが描いたのは、聖書や神話、中世の文学を題材とした美しく夢想的な物語
こうした主題を選択したのは、古代時代への回顧や、社会やアカデミズムへの反発の他、
社会からの現実逃避も少なからずあったのではないか・・・と私は思います
その上で、若い画家たちが現実に体験したロマンス、愛、夢、情熱、苦悩・・・といった人間的な感情の軌跡が、
夢想的な物語に生命を与えたのではないか・・・と

そして、素材や対象に対する徹底的な細部描写は、とても現実的です。
ロマン主義とリアリズム・・・この二元性がヴィクトリア朝時代の美術の特徴みたいで、
どちらも、力強く繁栄する社会を背景に生まれたものだったのだといえるようです

短命に終わったラファエル前派ですが、解散した理由が、芸術性の違いと女性問題だったらしいです
モデルさんなど女性を巡って色々とスッタモンダがあったのだとか。 この辺りも若者らしいというかww
時代に押し上げられる形で勢いよく咲き、短く消えていった若い画家たちの情熱と絢爛たる夢・・・
そんな夢の跡先を見ているような「英国の夢 ラファエル前派展」でした

「英国の夢 ラファエル前派展」は、現在、山口県立美術館で開催されています。
会期は、2016年3月18日(金)~5月8日(日)となっています。

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いつも、訪問して下さる方々、ちょこちょこ覗いて下さる方々、ほんとに有難うございます!  皆様に感謝感謝です・・・


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彩鳳堂画廊

京橋にある彩鳳堂画廊さんにお邪魔して、常設展示の「COLOR 01」を鑑賞してきました
画像にある入り口から入ると、全く別のギャラリーさんの中に入ってしまい、その中を通り抜ける形で、
彩鳳堂画廊さんに行き着きました もしかして裏口から入ってしまったのかも

下村ビル彩鳳堂画廊1

展示されていたのは、
磯江毅さん・大沢拓也さん・岡村桂三郎さん・川口起美雄さん・熊谷曜志さん・三枝淳さん・水野暁さん・・・といった
著名な作家さんのお作品ばかりで、ギャラリー内は何やら厳かな雰囲気に包まれていました・・・
その中で、絵と静かに向き合いながらというか・・・ともかくもリラックスしながら鑑賞することができました
撮らせた頂いたギャラリー内全体の画像です。落ち着いた佇まいを感じますよね・・・

彩鳳堂画廊2

全体の写真を撮らせて頂いた時、自分の真後ろに水野暁さんの美しい油彩画作品が展示されてたのですが・・・、
ちょうど今、群馬県立近代美術館で開催されている「群馬NOMOグループの全貌」展の関連展示でも、
水野暁さんのお作品7点が展示されているそう 3月21日(月)までの展示なのですけど、ご興味のある方はコチラ
(水野暁さんのWEBサイトはコチラ

そして、3月23日から26日にかけて、香港にて「アート・セントラル」というアートイベントが開催されるということなのですが、
その中の彩鳳堂画廊さんのブースにて、小松美羽さんが個展をされるのだとか
小松美羽さんといえば、2015年に狛犬(こまいぬ)の作品が大英博物館に所蔵展示されることになったり、
もとより「美しすぎる銅版画家」として、すごく注目されている女性作家さんです
彩鳳堂画廊さんに、小松美羽さんの画集?写真集?のような本が置いてあったので、読んでみると・・・すごく面白かったです!
全く主観なんだけども、「美しい女性の姿を成している、ぎゅっと純粋な男の子・・・」のような印象を受けました。
何か深くて混沌としたエネルギッシュなものを胸の中にたぎらせているかのような・・・
言い方が変かもだけど、純度の高い作家さんのように思いました
(小松美羽さんのWEBサイトはコチラ

彩鳳堂画廊さんには、色々な画集もたくさん置かれてるので、腰を落ち着けてじっくりと読みたい方にもオススメですょ
(彩鳳堂画廊さんのWEBサイトはコチラ


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慧喜

Author:慧喜
広島県出身 関東住みです。
アートに関すること
アーティスティックな世界に触れて
自分が感じたことを
アップしていきます。
些細な足跡ですが
関わった全ての皆さんの
お役にたてますように 
(*≧∀≦*)

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