慧喜~Trip of the art

不思議な動き キネティック・アート展

損保ジャパン東郷青児美術館」で
「不思議な動き キネティック・アート展 ~動く・光る・目の錯覚~」を鑑賞してきました。事前に、ふくやま美術館(広島県)から
来られた、本展監修者の谷藤史彦さんによる、開催記念講演会
『不思議な光・動きのアート誕生物語』も聴講してきました。

キネティック・アートとは「動く芸術」のことで、
美術作品そのものに「動き」を取り入れていたり、
「動いてるように見える」美術作品などの総称です。

電気じかけのモーターで動いたり発光する作品のほか、
現実には動かないけれども、目の錯覚(錯視)を利用したり、
見る人の視点の移動に応じて動いて見える作品なども
含まれています。
キネティックパンフ

元々は、19世紀にエティエンヌ=ジュール・マレーというフランスの方(写真家・医者・生理学者)が
生理学の研究のために、鳥の飛翔や人物の動きの連続写真を撮ったのが始まりで
一瞬の動きを連続で捉えたクロノフォトグラフは、後の芸術家に大きく影響を与えたのだとか。
連続写真を撮ることが目的ではなく、鳥はどのようにして空を飛ぶのか、羽の動きの変化をつかむ
ことの方が重要だったみたいですが、この技術が後に発展する映画カメラの原型となっていきます。
          
          クロノフォトグラフィー
              エティエンヌ=ジュール・マレーのクロノフォトグラフィ

キネティック・アートは、1950年代にイタリアの芸術家集団によって立ち上げられました。
キネティック・アートが飛躍した理由として、時代背景に第二次世界大戦の科学技術の発展があり、
芸術性にテクノロジーを取り入れようとする動きが盛んだったということがあります。
企業や研究所から、資金や技術的なバックアップを受けたり、
作家とエンジニアと共同でプロジェクトを組んだり、工業技術を使い量産型の作品が多く作られたり、
1960年代の終わりに、アメリカのポップアートの勢いに凌駕され終焉を迎えるまで、
この降盛は続いたようです。

衰退していったキネティック・アートですが、後々にコンピュータの開発が進み、
高度なデジタルテクノロジーを駆使した現代アートや、工業デザインの分野において、
重要かつ意義深い足跡を残したとして、時代を経た現在、芸術的に高い評価を受けているのだそう。

当時、イタリアのキネティック・アート作家たちは、グループで作品を作り、個人名は一切出さなかった
らしいのです。それは、高価な一点の作品に芸術的価値を求める、という旧来の芸術への批判精神から
「アンチアートマーケット」という思想を掲げ、マルチプルな共同製作を行うことで、大衆へ開かれた作品を目指していた、ということも理由の一つにあるのだとか。

「不思議な動き キネティック・アート展 ~動く・光る・目の錯覚~」展は
そのようにイタリアを中心に展開したキネティック・アートを総合的に紹介する展覧会です。
いずれもイタリア国内のコレクションからの出品で日本初公開だそうですよ。

50年くらい年をとっているキネティック・アートは、何というか・・・ゆ~るい感じを受けました。
激しい光やダイナミックな動きは伴わず、中身の構造も見えてしまうようなゆ~るい面白さがあります。

でも、この機械仕掛けのようなローテクな技術が、
現代のハイテクな技術の基盤になっていったんですよね。
展示されてある作品の中には、スイッチを押したら仕掛けが動くものが多数あり、
50年たった今でも、動きは緩やかですがきちんと稼動することに驚きました。

日本でも、ロボット開発が凄い発展を遂げていますが、次世代の収益事業に結びついていくのも、
遠い未来のことではないのかも・・・・と、時代の原動力を感じさせてくれるような展覧会でした。

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コメント

この記事、とくに前段は個人的に興味があったので、注意深く読ませて頂きました。

大学にいるとき、よく解剖学と運動の連続写真を使用して、人間の動作を解析していました。どの筋肉を使って、どこの関節をどのように動かしているのか、という解析ですが、その際、「美しいと感じる形は、同時に機能的である」とよく思いました。

後にミケランジェロやダ・ヴィンチといったルネサンス期の芸術家らが、解剖図やそれに類するデッサンを残していたことを知り、医学と美術が密接に繋がっていることに気付きました。

Patterson's Houseさん☆

Patterson's Houseさん☆

コメント有難うございます!
コメントを頂いていたことにずっと気付かなくて申し訳ないです・・・:;
古い記事を読んで頂いて、
コメントを下さることは本当に嬉しいことです(≧ω≦)

「美しいと感じる形は、同時に機能的である」
ちょうど、この前鑑賞してきたスイスデザイン展の
デザインコンセプトがそうでしたね^^
機能に純粋に準じていくと、美しい形になるということかな・・・??

ダ・ヴィンチさんの素描で、骨とか人体の解剖図?とか見たことあります。
よく観察することで、関節や骨などから体全体の比率とか読み取っていた
とか何とか・・・
自然に備わっている機能に、
芸術的な価値を見出したとかそういうことですかね・・・??
詳しいことは分からないけども・・・

「美しいと感じる形は、同時に機能的である」
この言葉は、思った以上に深いのかもしれませんねっ(ノ≧ڡ≦)

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慧喜

Author:慧喜
広島県出身 関東住みです。
アートに関すること
アーティスティックな世界に触れて
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