慧喜~Trip of the art

米倉斉加年さん

今年は、高倉健さん、菅原文太さん と、昭和の任侠映画のスターが、まるで連れ立つように逝去されました
とても大きな存在を失ってしまったかのようで、まだまだ寂しさをぬぐえない人たちが多いのではないかと思います。
そして、私にとっても、米倉斉加年(よねくら まさかね)さんが亡くなられたことが個人的にちょっとショックでした

中学生の時、国語の教科書に「おとなになれなかった弟たちに・・・・・」という物語が
載っていました。太平洋戦争の時に、幼い弟を亡くした米倉斉加年さんの自伝的物語で、
挿絵も全て、絵師であった米倉さん自身が描かれたものでした。
主人公の少年(米倉斉加年さん)は、当時10歳。
戦争の真っ最中に生まれた弟ヒロユキ。父親は、戦争に行って行方知らず。
母親は少ない食べ物を子供に食べさせ、母乳が出なくなってしまいました。
ヒロユキの食べ物は、たまに配給される一缶のミルクだけ。
育ち盛りである少年は空腹に耐え切れず、弟のミルクを盗み飲みしてしまいます。
やがて疎開した先でも、十分な食べ物は得られず、ヒロユキは栄養失調で亡くなり、
少年は、自分がミルクを飲んでしまったせいで死んだのだ、と罪の意識を背負います。
棺に入れる時、体の小さな弟だったのに、棺が小さすぎて亡骸が納まりませんでした。
それまで決して涙を見せなかった母親が「大きくなっていたんだね」と言い、
初めて泣いたのです。  米倉斉加年さんが描かれた、何とも可愛らしい子供の絵・・・→ →
私は、授業中にこの絵を見るたびに、お話の内容も相俟って、涙が出てとまりませんでした。
授業中じゃなくてもこの絵を開くたびに、毎回、涙をこらえるのに必死でした・・・
大人になれなかった弟たちに
この物語の最後は、
「弟が死んで九日後の八月六日に、ヒロシマに原子爆弾が落とされました。その三日後にナガサキにー。
そして六日たった一九四五年八月一五日に戦争は終わりました。僕はひもじかったことと、弟の死は一生忘れません。」
と締めくくられています。

米倉斉加年さんの後話によれば、少年がミルクを盗み飲みしていたことを母親は気付いており、注意をしたり、
ミルクの置き場所を変えていたといいます。でも、もっとキツく咎めたり、ミルクを取り上げたりできたのではないか・・・。
お腹をすかしてる我が子を前にして、それができなかった母親の心情が伺え、不憫に思います。

空襲が激しくなり、疎開の相談するつもりで訪ねた親戚宅からは「うちに食べ物はない」と追い返され、
その後にやっと疎開できた田舎では、疎開者には配給はなかったのだといいます。
母親が、農家の仕事を手伝ったり着物と交換することで食べ物を確保しており、
ヤギの乳が貰えると聞いては、遠くでも出かけていき、着物と交換して手に入れていたのだとか。
少年は、疎開先の学校でもいじめられており、家族にとっては、非常に辛い居場所だったようです。
もし自分だったらどうするか。戦時下の中、ひもじい生活を強いられている状況下で、こういう家族が身近にいたら
助けたり、食べ物を分け与えることができるかどうか・・・そのことが非常に問われるような物語だとも思いました。

そして着物がなくなったことで、食べ物を確保できなくなり、ヒロユキは栄養失調で亡くなります。
疎開地の人々も皆、戦争の被害者であり、もっと弱いものに対して加害者にならざるを得ないような状況でした。
だから、弟のミルクを飲んでしまったからということだけが、直接的な死の原因にはつながったとは考えにくいのですが
少年は、自分が弟を死なせてしまったという深い悲しみと贖罪の意識を背負ってしまうのです。

タイトルの「おとなになれなかった弟たちに・・・・・」と、弟が複数形になっている理由は、
戦争中に栄養失調が原因で亡くなった、弟と同じような思いをした乳幼児がたくさんいるためなのだとか。
暴力的に餓えの中に置かれ、弱いものが真っ先に犠牲になる戦争の非倫理・非理性を、
米倉斉加年さんは一生涯訴え続けた方でした。米倉さんにとって、戦争とは弟ヒロユキの死であり、
米倉さんの生命は、ヒロユキさんによって生かされていたのではないかとも思います・・・

              そして、米倉斉加年さんといえば、絵です。美しく魔的な絵の数々・・・
人魚物語囚われた人魚多毛留
私は、ずっと米倉さんのことを
絵師の方だと思っていたので、
訃報時のニュースで、
俳優業や演出家をなさっていたことを知り、ちょっと驚きました。
米倉斉加年さんの絵は、見たら
トラウマが残りそうな絵ばかり
でも、この摩訶不思議な世界が、
本当に好きでした。
ドグラ・マグラ」という小説も、
米倉さんの装丁による絵だったので、買いました
(中は、読んだことないです汗)
DEAD END帽子の女

ガガ様 デッサン ハット1
<ケント紙/鉛筆・シャープペンシル>
そして、唐突ですが、私の好きなLADY GAGA様を 、
前回にひき続きエボニーペンシルで描いてみました
描いてる途中、鉛筆削りで削ると、削った端から芯が
ポキポキ折れていき、短くなってしまった
新品同様だったのに・・・長年、放置してたせいなのかな?
この短いのだけでは、心もとなかったので
補助的に、シャープペンシルも使ってみました
そして、このGAGA様を、米倉斉加年画風にしてみたいっと
思います。あの魔的エッセンスを一滴だけでも入れられたら
ガガ様 デッサン ハット

ガガ様 デッサン ハット 米倉さん風塗り完成
<ケント紙/鉛筆・シャープペンシル・水彩絵の具・筆ペン>
完成しました!米倉斉加年さん風とはいえないかな
でも、何だか、ちょっと面白い絵になったような気がする
米倉さんの絵、何の道具を使われてるのかよく分からない
のですが、絵の具をにじませてる表現が多いみたいなので、
水彩絵の具とカラー筆ペンを使用しました
今回はテーマは無しで描くことに夢中になってしまいました
左の本は、吉行 淳之介さんのエッセイ本です
米倉斉加年さんが挿絵をつけられているので
衝動買いしてしまったものです。この本を参考にしました。
ガガ様 ハット 塗り1
米倉斉加年さんに対する、私のささやかなオマージュ・・・(のつもり汗)  天国でヒロユキさんと無事に再会できたかな・・・

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コメント

 米倉斉加年氏は、NHKの「風と雲と虹と」に出演されているのを見て以来、ずっと好きな俳優でした。でも、ご本人の私的な事は、慧喜さんの記事を読んで初めて知りました。
 「戦争中のことは話したくない」、という人が多いなか、このような貴重な手記(物語)を残して下さったことに感謝したいと思います。

 慧喜さんの鉛筆画は、色を付けても違和感がなく、寧ろ鉛筆の良さが強調されているようですね。
やっぱり、技術力と感性の問題なのでしょう。

 鉛筆削りは、回転の振動で芯にクラックが入るので良くないみたいですね。「小刀で削れ」とよく言われました。

はじめまして。
慧喜さんのブログを読むまで、絵を書いている人とは知りませんでした。私の中では、俳優の米倉斉加年さんでした。訃報、残念ですね。
戦争のエピソードも初めて知りました。調べたら、著書も複数あるようですね。絵もさることながら、そこら辺が、私にとっての新たな興味の入り口になりそうです。

おはようございます。

私も米倉斉加年さんの絵大好きでした。

俳優としても絵師としても才能を発揮された方でしたね。児童書の世界でも素晴らしい足跡を残されていますね。
彼の絵の世界・・漫画家の深井国さんとも似ているような美しい他タッチが好きでした。

Patterson's Houseさん☆

コメント有難うございます!NHKの「風と雲と虹と」を調べてみたところ
こちらで無料で観れるようです♪面白そう!私も観てみようかな?(๑˃̵ᴗ˂̵)و
↓ ↓ ↓
http://kaburaya.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-08f2.html

国語の教科書に載っていなければ、おそらく私もずっと知ることなかっただろうなと思います<おとなになれなかった弟たちに.....

かなり前から、この本と米倉斉加年さんのことを記事にしたいっと思っていたので、そう言って頂けて、本当に嬉しいです^^

絵も褒めて頂いて、有難うございます♪
エボニーペンシルの存在感が凄いのだと思います^^色に負けてないし、逆に色を引き立たせていくみたいな。

鉛筆削りは、手動なんですけど、削るときに力は入ってしまうのも良くないみたいですねーー;小刀ってすごいです@@私が削ったら、鉛筆がなくなってしまいそうです( ᵅั ᴈ ᵅั;)

かがりさん☆

訪問&コメントして頂いて、有難うございます!

<絵を書いている人とは知りませんでした
<そうだったんですね!でも、多分殆どの方がそうじゃないかな~と思います。俳優さんとしての米倉斉加年さんを知らなかった私の方が、特殊なのかも(இдஇ; )記事にもそんなふうに書いてしまって、後で、ちょっと恥ずかしい・・・かもと思ってしまいました泣

「おとなになれなかった弟たちに.....」も元々は絵本だったみたいですが、
昭和62年くらいからずっと、学校の定番教材としてつかわれるてるみたいです^^

「多毛留」や「人魚物語」も是非オススメです!今回の記事を通して、
新しい世界への扉を開くきっかけとならせて頂けるとしたら、私も嬉しいです
(≧▽≦)

Épine さん☆

コメント有難うございます!

米倉斉加年さんは、本当に多才な方でしたね!ネットで米倉さんの記事を色々と
見たんですけど、役者さんとしても独特な個性をお持ちだったみたい(≧ω≦)

児童書などの絵も、私も好きです!ちょっとゾクっとする、いわゆるグロい感じ^^;
現在だったら、ちょっと規制とか入るのかな、やっぱり・・・
10代の時に、吉行 淳之介さんの女シリーズ?本の挿絵を見て、衝撃を受けました笑
米倉斉加年さんにしか、ああいう絵は描けないと思います。

深井国さんの絵も、幻想的で美しいですよね!私も、好きな絵です╰(*´︶`*)╯
(漫画家の方だったんですね!知らなかった・・・)

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慧喜

Author:慧喜
広島県出身 関東住みです。
アートに関すること
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