慧喜~Trip of the art

No Museum, No Life? これからの美術館事典

東京国立近代美術館に行ってきました。
開催されていたのは、
「No Museum, No Life? これからの美術館事典」。
美術館に着いたのは、閉館30分前でしたが、
何故か、チケット売り場は外国人観光客の行列が
チケット購入にちょっと時間をとられてしまい、
実際、鑑賞した時間は正味20分くらい
もはや駆け足的に目で追っていくだけみたいな感じで、
鑑賞したともいえないのですが、
ざっくりとでも、展覧会の内容をお伝えできればと思います。
東京国立近代美術館

「No Museum, No Life? これからの美術館事典」は、国立系美術館5館のコレクションを紹介する合同展です。
(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館国立西洋美術館国立国際美術館国立新美術館
色々な時代や国のコレクションの中から選りすぐりの170点を展示。
しかし、今回の展覧会が面白いのは、作品ではなく美術館そのものをテーマだということ

普段は、作品が主役であって、表舞台に立つことのない美術館。
今回の、「No Museum, No Life? これからの美術館事典」では、作品を楽しむことは勿論、
作品にとっての舞台である美術館にも目を向けることで、展覧会を楽しむという新しい視点を提案しています
美術館と作品の関わりにスポットを当て、事典に見立てたAからZまでの36のインデックスに沿った作品が並んでいました

A=Architecture(建築)  Archive(アーカイヴ)  
  Artist(アーティスト)  Art Museum(美術館)
B=Beholder(観者) 
C=Catalogue(カタログ)   Collection(収集)  
  Conservation(保存修復)
  Curation(キュレーション)
D=Discussion(議論)  
E=Earthquake(地震)  Education(教育)
  Event(イベント)  Exhibition(展示)
F=Frame(額/枠)
G=Guard(保護/警備)
H=Handling(取り扱い)  Hanging(吊ること)
  Haptic(触覚的)
I=Internet(インターネット)
J=Journalism(ジャーナリズム)
L=Light(光/照明)
M=Money(お金)
N=Naked Nude(裸体/ヌード)
O=Original(オリジナル)
P=Plinth(台座)  Provenance(来歴)
R=Record(記録) Research(調査/研究)
S=Storage(収蔵庫)
T=tear(裂け目)  Temperature(温度)
W=Wrap(梱包)
X=X-ray(エックス線)
Y=You(あなた)
Z=Zero(ゼロ)
東京国立近代美術館内

これからの美術館事典パンフ


この36のインデックスと作品とどう関係があるのかというと・・・
たとえば、CConservation(保存修復)では、
安井曽太郎先生の有名な作品「金蓉」の、修復前(左、ヒビ入り)と修復後(右)の作品が展示されていました

これからの美術館事典10安井曽太郎 金蓉
安井曽太郎≪金蓉≫1934年 東京国立近代美術館所蔵

Conservation(保存修復)のインデックスに記載されていた内容です

劣化、汚損、破損、窃盗などの危険から作品を保護すること。
そのために作品をデータベースに登録し、一定の温湿度を保つ収蔵庫に保管する必要がある。
ときには、現状以上の劣化などを防ぐために、そして製作当初の鑑賞条件を維持したり復元したりするために、
作品に何らかの処置を施すことがある。これを修復という。

安井曽太郎≪金蓉≫は、これまで2度、修復家の手が入っている。
2005年の2度めの修復の際、青い衣服に広がる亀裂を目立たなくするため、ひび割れた箇所を埋め、青い絵具で色彩を補った。
この作品のひび割れは、製作後、程なくして生じたといわれている。
安井自身が一度、修復を試みたもののうまくいかず、一方でひび割れた状態を面白がったという逸話が残されている。
2度目の修復では、ひび割れを直そうと試みた安井の当初の意思を重視し、修復をおこなうことにした。
この処置により、ひびによってよく見えなかった人物の身体が際立つようになり、
その身体が実は複数の視点から捉えられた部分の組み合わせによって構成されたものであることが
よりはっきりと認識できるようになった。

~美術館キャプションより~

Conservation(保存修復)するということは、作品解釈に深く関与するため学芸員と修復家との連携が欠かせないのだ・・・
ということを、一つの作品を通して観覧者は知ることができるといった展示内容な訳です

最初のArtist(アーティスト)では、アンリ・ルソーの≪第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神≫

Light(光)では、壁に当てられたハロゲン光と共に、
ルノアールやモネなどの印象派作品が展示されていました。
かつての印象派の画家が、絵に取り入れた光と現代の光源を
対比させたユニークな展示です
美術館は、光(照明)に最も気を配る組織の一つなのだそう。
作品は光を浴び続ければ劣化/退色してしまうという・・・。
美術館はそれゆえに作品を照らしつつも光を制限しなければならず、
油彩画やテンペラ画は、150-180lx(ルクス)
紙作品などは50lx以下の照明下で展示することが望ましいのだとか。

ルノアール 木かげ
ピエール=オーギュスト・ルノワール≪木かげ≫1880年頃
アンリ・ルソー第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神
アンリ・ルソー≪第22回アンデパンダン展に参加するよう
芸術家達を導く自由の女神≫1905-06年
東京国立近代美術館所蔵

↓↓↓Naked Nude(裸体/ヌード)では、近代の様々な画家による裸婦像がたくさん 展示の仕方が面白いです
これからの美術館事典7これからの美術館事典6

↓↓↓Haptic(触覚的)では、マルセル・デュシャンの≪触ってください≫が展示されていました
本当に触っていいの?としばらく迷いました笑 (触らなかったけど!)
Original(オリジナル)では、私の好きなアンディ・ウォーホルのシルクスクリーン作品≪4フィートの花≫が↓↓↓
Original(オリジナル)というインデックスをつけたところに、問いかけの意味があるような気がしますね
これからの美術館事典3これからの美術館事典8

他にも、Earthquake(地震)では、関東大震災後のスケッチ画と共に、美術作品を守るための免震装置がアート作品のように
展示されていました。地震大国・日本なだけに、この装置なくしては美術館の展示も成り立たないのかもしれませんね
インデックスには時代やジャンルの区分がなく、巨大な事典の中をさまよっているような感じ・・・

Storage(収蔵庫)とインデックスをうたれた広い空間は、
国立美術館4館の美術品収蔵庫を模したものなのだとか
(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、
国立西洋美術館、国立国際美術館の4館。
国立新美術館のみ、コレクションを持ってないので収蔵室はないのだそう)

実際に収蔵庫でどのように管理されているか、
各館の収蔵庫内を写して原寸大に引き伸ばしたモノクロ写真をズラッと展示。
そのモノクロ展示の中に、さりげな~く
レオナール・フジタこと藤田嗣治さんの絵画(本物)も数点展示されていました!
本物だというのに、まるで紛れ込んでるかのような笑
4館全てに藤田作品が収蔵されているので、このような展示にしたのだとか
こういう趣向、藤田嗣治さんが生きてたら、きっと面白がったにちがいない・・・(多分)
これからの美術館事典13
これからの美術館事典15


そして、会場最後の部屋では、You(あなた)というインデックスの横に鏡が展示されていました! ↓↓↓
美術館は『あなた』なしにはありえない。『観者』『鑑賞者』、『来場者』や『お客様』という言葉は、
少しよそよそしいのかもしれない。作品も、展覧会も、美術館も、それを見る『あなた』の経験と記憶の中に生起する

~美術館キャプションより~
鏡に映る私たち観者も、美術館にとっては必要不可欠な存在ということだろうか・・・

そして、ラストのZero(ゼロ)では、広い部屋に積み上げられた箱が
箱以外には何もなく、剥き出しで寒々しいような空間
箱は、今回展示作品を収納していたもので、
この箱で運搬され、展示終了後にまた梱包されて送り返されるのだという・・・

展覧会が終わり、観客がいなくなり、壁に埋めていた作品が撤去され、
脱殻のような『空』の展示室が生まれるとき、
美術館は『ゼロ』に近い状態を経験するのかもしれない。
この最後の部屋は、美術館が普段は見せることのない、
前回の展覧会が『終わった』あとの展示室である。
それはしかし、やはり『ゼロ』ではない。
ここにはすでに、つぎの展覧会、つまり本展の出品作の輸送用クレートが
並んでいる。美術館はこうして、何度となく孵化をくりかえす。

~美術館キャプションより~

ゼロはエンドではなく、ゼロから始まる新しいストーリーがここにはあると・・・。
(カッコよくいえば笑)
これからの美術館事典19
これからの美術館事典17

閉館ぎりぎりに、外のミュージアムショップへ→ →
こんな時間まで、ショップは外国人観光客でいっぱい
「No Museum, No Life? これからの美術館事典」は、
とても面白かったです!
インデックスや展示の面白さもあり、
普段の美術鑑賞よりも楽しめたように思います
もっと、面白い展示物がたくさんあったんですけど、
何せ、鑑賞した時間が20分という短さだったので笑
それらを詳しくお伝えできないのはちと残念・・・
この美術館の常設展も素晴らしいと聞いていて、
外観の景色も美しいので、また行ってみようと思います!
東京国立近代美術館ミュージアムショップ

「No Museum, No Life? これからの美術館事典」は、9月13日(日)までの開催となっております


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コメント

慧喜さん、こんにちはー^^

とってもユニークな展覧会ですね♪

正味20分の鑑賞でもこれだけ詳しく記事にできれば素晴らしいと思いますよー(*'ω'*)

慧喜さん、いつも深く作品や展覧会の模様を理解しようとしている姿勢が素敵です。

真知子さん☆

真知子さん☆

コメント有難うございます!

<とってもユニーク
<そうなんですょ!
なかなかこういう企画展ってないと思って^^;
実は、たまたま近くまで来たから
寄ってみただけなんですけど、
めっちゃ後悔しました笑
すごく面白かったんです><
この企画を考えた人達、すごいなあって^^;
私が行った時は、外国の方がほとんどで、
それも珍しい経験でした!

<正味20分の鑑賞
<これはかなりキツかったですーー;
ただ、写真撮影OKだったので、
たくさん撮って、あとで家でじっくりと
見れるのは良かった・・・☆

<理解しようとしている姿勢
<そう言って頂けると嬉しいです><
理解してないと、記事も作るの難しいんです:;
ちゃんと理解できずに、記事が作れなくて
そのまま行ったきりになってしまった展覧会が
実はもっとあります・・・汗

。: *゚✲ฺ(✿◕ฺ ∀◕ฺ)ฺノ†゚*:₀アリガトン₀:*゚

これから何年も何十年も

慧喜さま、こんにちは。
今日は、170点を展示鑑賞した時間は正味20分!!
それで、ここまで纏め上げられて・・・何時もですが感心と感謝で~す!!
私が慧喜さんの記事を読み、少しは理解しようとするのに掛かる時間が
早くても30分・・・記事によっては1時間ブログ開きっぱなしです。(笑)

今回のAからZのインデックスに纏められているのには驚きです。

美術館の裏事情も普段知り得ませんし、また私のような観者は、
ある時は見過ごす事も有り・・・ちょっと恥ずかしくなりましたよ!!

「ゼロはエンドではなくゼロから始まる新しいストーリーがここにはあると」
その通りですね!!
この作品たちは、また何処かで人に感動を与える始まりですね!!
それも、これから何年も何十年も・・・

いつも凄いボリュームを、こうして簡単に僅かな時間で楽しませてくれる
慧喜さんに感謝で~す!!

mnsuisaiさん☆

mnsuisaiさん☆

コメント有難うございます!

<鑑賞した時間は正味20分!!
<そうなんですょ!
ちょっと勿体無かったです><

<理解しようとするのに30分
<そ、そうなんですか??
ちょっと小難しく作りすぎちゃってるかも・・・
申し訳ないです:;
初め文章だけをザクっと作るんですけど、
ものすごい量になるんですーー;
それを、端折って端折って半分くらいにするんです笑
あまり長すぎると、読む人も大変だし、
あまりに短いと、細かいとこまで伝えるのは難しい・・・
う~ん@@なるべく理解しやすいように、
これから作っていきます^^;
1時間も開いて下さってて、申し訳ないやら有り難いやらーー;

<美術館の裏事情も普段知り得ませんし
<ですよね!私も全く分からないです^^;
そういう意味で、今回の企画展は良かったと思います。
私も時間がない時は、大きな目玉展示?にだけ焦点を当てて
鑑賞するだけで終わるときもあります:;

<ゼロはエンドではなく
<最後の展示室には本当にびっくりしました@@
倉庫かと思い、そのまま帰ろうとしたくらいですから笑

美術品を梱包する箱とか、普段はまず見る機会ないですよね^^;
美術品て、美術館などにひっそり眠ってるイメージなんですけど、
実際は、貸し出しなどで移動を繰り返すことが多いらしく
美術館の収蔵庫は絶えず忙しい場所なのだそうですょ^^

♬♩♫♪☻アリ(●´∀`●)ガトン☺♪♫♩♬

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鍵コメ様☆

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コメント有難うございます!

早速、鍵コメ様のブログにGO~^^v

ヾ(◕ω◕`❤)【。゚+オカエリマソ♪。゚+.】(❤´◕ω◕)ノ゙

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コメント有難うございました!

ネット上での良い出会い、
本当に嬉しく思います^^
これからも宜しくお願いします♪

♥━━ヾ(●´v’)人(’v`○)ノ━━♥アリガトン!

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Author:慧喜
広島県出身 関東住みです。
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