慧喜~Trip of the art

松岡学展 ~光を飼う~

以前、お邪魔した吉祥寺の「ギャラリーフェイストゥフェイス」のオーナー山本清氏に案内の葉書を頂いたので、
西荻窪にあるギャラリー「ガレリア青猫」さんに
お邪魔しました
開催中の個展は、「松岡 学展 ~光を飼う~」です。
お邪魔すると、松岡学さんは外でカフェ休憩中とのことで、
彼の帰りを待ちながら、山本氏と色々なお話をすることに。
前回、フェイストゥフェイスさんで開催された、
スペインの画家 ラファエル・ロドリゲスさんの油彩画展に
ついて、私が作ったブログ記事に触れて頂いて、
山本氏にお褒めの言葉を頂きました
(ラファエル・ロドリゲスさんの油彩画展記事はコチラ
ガレリア青猫1

そして、松岡学さんが戻られた後、
絵を鑑賞しながら色々なお話を聞かせて頂きました。
松岡学(がく)さん、27歳。まだお若い新人作家さんです
そして、彼の作品、頂いた案内葉書の画像では
油彩画だと思ってたのですが、何と日本画
予備校時代の先生だった舘 寿弥(たち ひさや)さんの影響を
受けられて、大学では日本画を学ばれたとのこと。
(現在、ギャラリーフェイストゥフェイスさんの方で、
9月13日まで舘 寿弥さんの個展を開催中です。
舘さんとオーナーの山本氏は、学生時代から付き合いがあり、
山本氏曰く”腐れ縁”の如く、旧知の間柄なのだとか~)
対岸へ
≪対岸へ≫2015年


松岡学さんの世界・・・独特な印象なんですが、モティーフは古い建物や船や海であることが分かります
彼は、富山県の新港という港町のご出身なのだそう。
海に囲まれ、潮風にさらされた古い建物が並ぶ、そんな港町で育ったのだとか
彼が子供の頃に暮らしていた家もまた、海沿いだったため塩害の影響を多大に受けていたのそうです。
確かに海沿いにあるガードレールとか、潮風を受けて錆びつき、ボロボロになってるの見るけどあんな感じだったのかな?
(何となく、つげ義春さんの「ねじ式」の世界を想像してしまう・・・)

「松岡学展~光を飼う~」では、松岡さんが昔見ていた懐かしい風景、潮風にさらされて、錆び朽ちている風景を、
「光」をテーマにして表現されています。
記憶の奥深くに眠っている何かを呼び覚ます喚起力になるのが、彼にとっては「光」という存在なのかもしれません

二つの煙突
≪二つの煙突≫2015年
方船
≪方船≫2015年


油彩画だと思っていた松岡さんの日本画ですが、近くで見るとマットな絵肌から、日本画としての素材感を感じます
日本画の伝統的な手法で下地を作った上に、使われてる画材も、岩絵具や水干(すいひ)絵具といった日本画画材。

浮島
≪浮島≫2015年
つなぐ場所
≪つなぐ場所≫2015年


日本画には色々な特徴があって、その中でも陰影をつけないということがあるのだそうです。
遠近法、明暗法などの西洋画法は、日本画のフラットな空間には馴染みにくいので、積極的に空間を作っていかないのだとか。
そして、岩絵具の艶のないマットな質感も、遠近感を出すときには障害にもなるのだそう

しかし、松岡さんの作品の場合、どの画面の中でもテーマとなる「光」を取り入れて、陰影をつけているのです。
この「光」の表現として、表面に使われている鮮やかなブルーグリーン
これは、緑青(ろくしょう)といって、、銅が酸化されることでできる青緑色の錆(サビ)なのだとか
放置した古い10円玉にできる緑色のサビといえば分かりやすいかと思います。
(アメリカの自由の女神像の色も、この緑青(ろくしょう)によるものなのだそうです。)
松岡さんは、この緑青を使い、まるで暗闇の中で発光しているかのような、美しく幻想的な世界を表現しているのです

光を飼う
≪光を飼う≫2015年
光に登る2
≪光に登る≫2015年


個人的に、この二つの作品≪光をはこぶ≫≪道≫が、素敵だなと思いました。童話のような一つの物語が生まれてきそう。
≪道≫からは、タイトルも相俟ってフェデリコ・フェリーニの映画、「道~La strada~」を思い出し、
頭の中を、ニーノ・ロータの切ない音楽が駆け巡りました。日本画なんだけど、感じるのは西洋的なノスタルジー・・・

             光をはこぶ
             ≪光をはこぶ≫2015年
道
≪道≫2015年


下画像の≪海岸線≫という作品もいいなと思いました。夜の海に引きずり込まれそうな心細さを感じるのですが、
なまぬるい潮風や夜の波音に心が凪いでいくような・・・そんな気持ちにもなるのです。五感識をちょっとノックされるかのよう。
あと、全体の作品を通して背景に海を感じるのですが、海といえば瀬戸内海の海しか知らない私にとって、
北陸の海の澄んだ深さ、日本海の暗さ(あくまで私のイメージで)みたいなものも感じます

海岸線
≪海岸線≫2015年
住処
≪住処≫2015年


そして、以前に作られた作品(2013~2015年)の画像をファイリングしたものも見せて頂きました
下画像≪光の塔≫は、VOCA展2015で佳作をとられた作品なのだそう
(VOCA展とは、選考委員が選んだ推薦人の推薦によって出品作家が選ばれるので、誰もが出品できる公募ではないのです。
賞をとられたのも凄いんですけど、推薦されるというだけで凄いことだと思います~)
サイズを見てみると・・・332.0×243.0cmと、デカい 松岡さんにお話を聞いてみると脚立仕事だったのだそうです
この作品にかけられた膨大な時間と労力を思うと・・・凄!!

光の塔
≪光の塔≫2015年
廃墟
≪廃墟≫2013年


松岡さんの作品には、一貫して廃墟や錆びれた工場、漁船といったモティーフが登場します。
山本氏曰く、そういったものを好んで使う若い作家さんたちは多いのだけど、
松岡さんの場合は、自分の体験や幼い頃から見てきたものの蓄積から描いてるものだから説得力がある、作品にズレがない
と仰ってたのが印象的でした
確かに、サビを描けと言われたら、練習すればサビのようなものを描けるかもしれない、
だけどサビがもたらす空間や雰囲気を表現するのは、これは付け焼刃のテクニックなどでは難しいと思う・・・

松岡さんにとって廃墟や錆びれた風景とは、郷愁を誘われるものであり、思い出や愛着がたくさんあるんだろうな、と感じました。
その思い入れの強さが、表現(オリジナリティ)の強さにもなっているように思います

漁船
≪漁船≫2014年
廃墟2
≪廃墟≫2012年


そして、松岡学さんご本人です → → →
優しげな外見そのままに、とても優しい方でした
でも、作品は骨太でワイルド笑
たくさんの質問に根気強く答えて頂いたり、
製作のお話をたくさん聞かせて下さって、本当に有難うございました。
そんな彼の経歴をご紹介・・・
松岡 学(まつおか がく)
1988年 富山県生まれ
2012年 武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業
2014年 同大学大学院造形研究科日本画コース修了
2015年 第41回春季創画展2015春季展賞
2015年 VOCA 展2015佳作賞
松岡学さん

↓↓↓もっと詳しい画歴は下記になります↓↓↓

2006年 越中アートフェスタ(富山県民会館)
2009年 1/4展(富山県市民会館)
       ビエンナーレ青梅(青梅市美術館)
       りんごと出会った頃から・・・(画廊喫茶ルーエ)
2010年 1/4展(富山県市民プラザ) 
       「LIVE」展 (日本橋ユーメリア)
2011年 春季創画展(日本橋高島屋)
       Young Impression vol.14 日本画考(武蔵野美術大学)
       1/4展(富山県市民プラザ) 
2012年 武蔵野美術大学卒業制作展(武蔵野美術大学)
       東京五美術大学連合卒業・修了制作展(国立新美術館)    
       春季創画展(日本橋高島屋)
       臥龍桜日本画大賞展(岐阜)奨励賞
       グループゆう展(富山県市民プラザ)
       Art Program Ome2012(青梅市センタービル)
       創画展(東京都美術館・京都市美術館)
       CAF, ネヴュラ展(埼玉県立近代美術館)
       CONTRAST-東京を見る-(ガレリア青猫/西荻窪)
光の依代
≪光の依代≫2015年
2013年 目の正月展(FACE TO FACE/吉祥寺)
       春季創画展(日本橋高島屋)
       ゆう展(富山県市民プラザ)
       武蔵野美術大学日本画学科修士課程展-間をひらく-
       (三鷹市美術ギャラリー)
       松岡学日本画展(FACE TO FACE/吉祥寺)
       BANG-BANG!みよう×つくろう2014(富山県立近代美術館)
2014年 アートのおせち(FACE TO FACE/吉祥寺)
       武蔵野美術大学卒業・修了制作展(武蔵野美術大学)
       武蔵野美術大学卒業制作・修了制作優秀作品展(武蔵野美術大学)
       GRAFFITI|グラフィティ杉田明彦/松岡学(Pragmata/八丁堀)
       Selections(FACE TO FACE/吉祥寺)
       臥龍桜日本画大賞展(岐阜)奨励賞
       ゆう展(富山県市民プラザ)
2015年 Whole Art Catalog(FACE TO FACE/吉祥寺)
       春季創画展(高島屋/日本橋)春季展賞
       VOCA2015 現代美術の展望-新しい平面の作家たち
       (上野の森美術館)佳作賞
海と十字
≪海と十字≫2015年

個展や公募展に出品など、幅広く活動をされていますよね
松岡さんにお話を聞いてみると、公募展には、実際にはもっともっと出品されているのだそう。
多い時には、月に一回のペースで出品されていたのだとか す、すごい・・・見習わなければ・・・汗。
私などがこの先、頑張りすぎても決して頑張りすぎってことはないわ・・・と、かなり反省

最後に、「ガレリア青猫」さんのことを紹介させて頂きます。
元々のオーナーさんが、若手や中堅作家を応援したい・・・
ということで始められたギャラリーなのだそう
しかし、ご高齢になられたために、
今年から、「ギャラリーフェイストゥフェイス」のオーナー、
山本清氏に任されているとのことです。
ギャラリーの場所がすごく良く、西荻窪駅から徒歩約3分
人や車が行き交うメイン通りの商店街に面する、
一階のギャラリーです。
通りがかりの方も来廊されることが多いのだそう
ガレリア青猫4

この通りの商店街、めっちゃお店があって、
歩いてるだけでも楽しいと思います
山本氏に、西荻窪マップを頂いたので、今度攻略してみよ
ギャラリー内は、奥行きがあって、天井も高いです。→ →
画面ではあまりそう見えないかもですが、
多分、写ってる松岡学さんの身長が高いから笑
大作も含めた個展や、4人~10人程度のグループ展も
できるそうですよ
自分の個展を開いてみたいな・・・と思われる方はぜひ
(ガレリア青猫さんのHPはコチラ。ブログはコチラ
ガレリア青猫2


松岡学さん、山本清さん、たくさんお話を聞かせて頂いて、また、私のグダグダ話も聞いて頂いて本当に有難うございました

 ← ← ← ポチって頂ければ、励みになります  宜しくお願い致します

web拍手 by FC2

コメント

慧喜さん、こんばんはー^^

『光』っていうと『太陽』とかの明るい、何かを照らし出すようなのを思い描きやすいですが、月明かりとかも『光』なんですよね♪

絵を拝見していると、モチーフをふわりと画面に浮き上がらせているような幽玄さと同時に色遣いはけっして明るくはないけれど、優しさをなんとなく感じました^^。

私もこの中では『道』という作品が好きだなぁ♪

真知子さん☆

真知子さん☆

コメント有難うございます!

<月明かりとかも『光』なんですよね
<そういえば、月明かりって感じですね!
それは、私は意識してなかった・・・@@
見る人が違えば、色んな見方があって面白いです^^v
暗いけども、深い光ですよね!

<幽玄さ
<これは、すごく当てはまってる言葉だと思いました。
確かに、松岡さんの画は、趣きがあって美しいと思う。
西洋的な印象なんですけど、
何か郷愁を誘うようなひなびた雰囲気もあるし、
童話に出てくるような幻想的な感じもするし・・・
確かに”幽玄”て言葉がぴったりかもしれません^^;

<優しさをなんとなく感じました
<そうですね^^
実際にある風景ではなく、松岡さんの心象風景を
描いたものだと思うんですけど・・・お人柄でしょうか・・・?
何か、優しく語りかけてくるような感じがしますね^^v

<『道』という作品が好きだなぁ
<ですよね!私も一番好きかも・・・
山本氏にもお話したんですけど、
女性は、多分、好きな人が多いと思うんです。
ちょっと、おとぎ話的な要素に惹かれるのかな笑


松岡さんの寂の世界

慧喜さま、こんにちは。
今回の松岡さんの作品は日本画とは思えないですね!!

空間をパースペクティブな立体感で描かれ、
こんな日本画の風景画は珍しいのでは?見た事が無いな~!!
これも松岡さんの感性から来るものなんでしょうね~!!

また、この古びたサビ(錆)が赤茶色で無く、緑青で味が深まっています。
その風景も不要なものを排除した松岡さんの世界が描かれているようにも
思えました。

まだ、お若いのに日本の侘・寂(錆で無く、笑)を現代風にアレンジした
情景のようにも見えて驚きでした。

色々と勉強になり有難う御座いました。

mnsuisaiさん☆

mnsuisaiさん☆

コメント有難うございます!

<こんな日本画の風景画は珍しい
<そうですね!
日本画に見られる平面的な感じもなかったので、
初めは、油彩画だと思ってました。
重厚感も感じましたし・・・^^;

洋画と日本画の違いってそもそも
画材の違いということ以外での
境目が曖昧に思うのだけど、
松岡さんの場合、日本画画材の特色を生かしつつ、
自分の世界を表現されてるのが凄いと思いました^^
新しいタイプの日本画といってもいいのかな?

<緑青で味が深まっています
<キレイですよね!
緑青という日本画画材も、私は初めて知りました^^;
あと、水干絵の具というのも・・・。
どういう風に使うのか、松岡さんから色々と
教えて頂いたのも有り難いことでした^^v

<お若いのに日本の侘・寂
<錆で無く笑
ですよね!
簡素な画面の中に、静かにたたずむ寂しさみたいなものが
(作業工程は、決して簡単ではないと思いますが^^;)
とても味わい深いと思いました。
しかも、サイズのかなり大きい画面にも
そういう空間を表現されていますし、
若い作家さんですが、たくさんの経験の蓄積みたいなものを
感じました!

コメントありがとうv-266
次の公募決めたのでがんばって描いてます。
慧喜さんのことだから、次々出してるのかな?
作品拝見できる日楽しみにしてます。

かなめこさん★

かなめこさん★

コメント有り難うございます!

お~!次の公募展、決められたのですね♪
パステル画で出されるのかな??
頑張ってください(*^▽^*)
私も、今、公募展出品に向けて
奮闘中です汗。
夜に作業することが多いんですけど、
上手くいってなく、めっちゃ孤独感じます・・・
だから、お仲間がいること、本当に励みになります。
一緒に頑張っていきましょ~!

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://eki12.blog.fc2.com/tb.php/78-a96cb283

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | HOME | 

AUTHOR

慧喜

Author:慧喜
広島県出身 関東住みです。
アートに関すること
アーティスティックな世界に触れて
自分が感じたことを
アップしていきます。
些細な足跡ですが
関わった全ての皆さんの
お役にたてますように 
(*≧∀≦*)

【PCでの閲覧を激しく推奨します】

ランキングに参加中です☆


にほんブログ村 美術ブログ 絵画へ
どちらかをポチって頂けると、嬉しいです!┏(<:)

COUNT

TRANSLATION

CATEGORYS

TRACKBACKS

画家 榎俊幸さんのHPサイト

画家 安冨 洋貴さんのブログ

Pencil artist Ayumiさんのブログ

LINK


一年以上、アクセスを頂いてない場合は、外させていただくこともあります。ご了承下さい。

MAIL

SEARCH FORM

Designed by Miya@loconet 

FC2Ad

Copyright © 慧喜~Trip of the art All Rights Reserved.